ニュースの概要
新潟県上越市のスーパー銭湯「七福の湯 上越店」が、上越エリア最大級とされるスタジアム型サウナを備えていることが紹介された。階段状の客席を持つ広いサウナ室では、定期的にロウリュ(=熱した石に水をかけて蒸気を出すこと)を行う。施設には7つの壺湯、泡で包まれる野天風呂、大浴場、炭酸風呂もそろう。お風呂に入るだけの場所から、サウナや外気浴を組み合わせて長く過ごす場所へと、スーパー銭湯の価値の置きどころが移っていることを示す事例である。
引用元: 新潟県のスーパー銭湯「七福の湯 上越店」、上越最大級のスタジアムサウナを展開(All About News)
分析・見解
サウナ室の「広さ」が集客の看板になる理由
サウナ人気が高まるにつれ、利用者の不満は「熱さ」や「温度」よりも「座れない」「混んでいて落ち着かない」に移ってきた。スタジアム型の大きなサウナ室は、この不満に正面から答える設備である。階段状の席なら人数が多くても視線が重なりにくく、ロウリュの熱気もまんべんなく届く。広さは、それだけで宣伝文句になる。
ただし広いサウナ室は、つくって終わりではない。室内が広いほど熱を保つ燃料も多くかかり、温度のむらも出やすい。
ロウリュは「時間を決めたイベント」として使える
定期的に行うロウリュは、利用者にとって来店の目的になる。たとえば開始時刻を決めて告知すれば、来館時間が分散し、夕方の混雑を和らげる効果も期待できる。これは映画館の上映回に近い考え方である。
一方で、実施する側には負担もある。蒸気を扱うので熱いと感じる人が出やすく、送風の強さや人数の見極めが必要になる。担当者の技量に差があると、満足度のばらつきにもつながる。
温浴設備の多さは「飽きさせない」ための仕掛け
壺湯が7つ、野天風呂、炭酸風呂と、湯の種類をそろえるのは、同じ客に何度も来てもらうための工夫である。サウナだけに頼ると、苦手な人や家族連れの客を取りこぼす。湯の種類が多ければ、サウナ目的の人と、のんびり湯に浸かりたい人が同じ施設で満足できる。
これは大手チェーンが得意とする戦い方でもある。地域の中堅施設が対抗するには、設備の数ではなく「ここならではの体験」を一つ決めて磨くことが近道になる。七福の湯の場合、それが大規模サウナである。
設備投資は人の手当てとセットで考える
大きな設備は話題を呼ぶが、衛生管理、安全確認、清掃、ロウリュ担当者の確保といった運営の手間も一緒に増える。投資額だけを見て判断すると、開業後に人手不足で十分に使いこなせない恐れがある。設備と運営体制をひとまとめにして計画できるかどうかが、成否を分ける。
ビジネスへの影響
新設よりもまず「今あるサウナの使い方」を見直す
いきなり大型サウナを新設するのは、多くの施設にとって現実的ではない。まずは既存のサウナ室で、ロウリュの時間帯を決めて告知し、混雑の偏りがどう変わるかを一か月ほど試すとよい。費用が小さく、効果も数字で確認できる。入館者数、滞在時間、飲食の売上を、実施前後で比べておきたい。
広いサウナ室ほど、人員と安全の計画が重い
収容人数が増えると、室内で気分が悪くなる人が出る確率も上がる。巡回の頻度、非常時の連絡方法、水分補給の案内を、人数に合わせて見直す必要がある。ロウリュ担当者も、一人に頼らず複数人で回せるよう研修しておくと、休みや退職の影響を受けにくい。
滞在が長くなるほど、館内の売上に波及する
サウナと外気浴を繰り返す客は、休憩処や食事、水分補給の利用が増えやすい。入館料だけでなく、館内での売上全体で採算を見る視点が欠かせない。サウナの満足度が高まれば、回数券や会員制度への誘導にも結びつく。ただし、長居する客が増えると回転率は下がるため、時間帯別の料金や混雑表示も併せて検討したい。
本記事は報道内容を起点にした編集部の解説です。個別施設の許認可・衛生・設備・会計の判断は、所管自治体や専門担当へ確認してください。
